エラスチンは、血管や皮膚などに弾力を与える、細胞外マトリックスのたんぱく質です。
エラスチンとは
エラスチンは、水に溶けない、細胞外マトリックスのたんぱく質です。動脈・肺・皮膚・靭帯などにあり、これらの組織に弾力を与える「弾性線維」の中心となる成分です。
はじめは水に溶ける形(トロポエラスチン)でつくられ、細胞の外に出たあと、ほかのたんぱく質と結びついて、溶けないエラスチン線維になります。
出典:[1]
体のどこに、どれくらいあるか
エラスチンは、伸び縮みをくり返す組織に多く含まれています。体の中のエラスチンは入れ替わりがとてもゆっくりで、半分が入れ替わるまで約70年と見積もられています。
組織ごとのエラスチンの割合
組織の乾燥重量に占める割合(%)
コラーゲンとの違い
皮膚の真皮の大部分は、コラーゲンでできた「膠原線維」と、エラスチンでできた「弾性線維」などの細胞外マトリックスでできています。コラーゲンは硬くて丈夫なたんぱく質で、エラスチンは組織の弾力(伸び縮み)の源となるたんぱく質です。
原料になるエラスチン(カツオエラスチン)
魚の心臓の出口には「動脈球」という部分があります。ほかの脊椎動物では心臓の筋肉でできているこの部分が、骨のある魚(真骨魚)では、エラスチンを多く含む平滑筋でできています。魚は心臓のすぐ先にエラがあるため、心臓から押し出される血液の勢いを、この動脈球がクッションのように受け止めています。動脈球の部屋の約70%を弾性線維が占めるとされ、真骨魚は、ヒトやマウスにはない動脈球用のエラスチンの遺伝子を、もう1つ持っています。
カツオエラスチンは、この動脈球からとったエラスチンです。
魚のエラスチンと、陸の動物のエラスチンの違い
サケの動脈球と牛の大動脈のエラスチンを比べた研究では、魚のエラスチンは、グリシンやチロシンが多く、アラニン・バリンなどの水になじみにくいアミノ酸が少ないことが報告されています。また、エラスチンの線維どうしをつなぐ「架橋」が少なく、やわらかい性質を持つとされています。
| アミノ酸 | サケの動脈球 | 牛の大動脈 |
|---|---|---|
| グリシン | 387.0 | 320.0 |
| アラニン | 126.0 | 228.1 |
| プロリン | 82.2 | 116.4 |
| バリン | 47.6 | 126.6 |
| チロシン | 45.7 | 8.5 |
| アルギニン | 31.8 | 8.9 |
単位:アミノ酸1000個あたりの数。水に溶けないエラスチンを、同じ研究の中で同じ方法で測った値です(主なものを抜き出しています)。
架橋をつくるアミノ酸(デスモシン)の量
エラスチンだけに含まれる「デスモシン」「イソデスモシン」は、線維どうしをつなぐアミノ酸で、エラスチン食品の品質の目安に使われています。業界の品質規格では、加水分解エラスチン100gあたりの量を、魚類由来(カツオなどの動脈球)で0.1g以上、哺乳類由来(豚などの動脈)で0.8g以上と定めています。
食べたあとの研究
カツオエラスチンを分解したものを食べたあと、血液の中で最も多く見つかった食品由来のペプチドは、プロリルグリシン(Pro-Gly)でした。食べてから30分後に最も多くなり、4時間後には約20%まで下がったと報告されています。カツオの動脈球からとったエラスチンペプチドについては、ほかの大学でも研究が進められています。
Dr.JAPAN の研究から
エラスチンの役割
エラスチンはECMを構成するもう一つの重要なタンパク質です。特に乳房のクーパー靭帯にはエラスチンが豊富に含まれており、ECMが強化されることで下垂を防ぎきれいなデコルテラインの形成に寄与すると考えられています。
Dr.JAPANでは、エラスチンについても
天然カツオ動脈球由来のものを厳選して
使用しています。
研究内容は、商品の効果・効能を示すものではありません。
関連する成分
この成分を使っている Dr.JAPAN の商品
Dr.DECOLLA/Dr.Energy Collagen EX
出典
- [1]輪千浩史(星薬科大学)「皮膚における弾性繊維形成とトロポエラスチンの細胞機能解析」コスメトロジー研究報告 Vol.15(2007)
https://www.kose-cosmetology.or.jp/research_report/archives/2007/fullVersion/Cosmetology%20Vol15%202007%20p94-98%20Wachi_H.pdf - [2]Trębacz H, Barzycka A「Mechanical Properties and Functions of Elastin: An Overview」Biomolecules 13巻3号 574(2023)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10046833/ - [3]Kannus P「Structure of the tendon connective tissue」Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports 10巻6号(2000)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11085557/ - [4]北海道立網走水産試験場「水産加工情報 No.10」(1999)
https://www.hro.or.jp/upload/34279/sh6v060000000id4.pdf - [5]Moriyama Y ほか「Evolution of the fish heart by sub/neofunctionalization of an elastin gene」Nature Communications(2016)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4735684/ - [6]竹内(小柴)和子(東洋大学)科学研究費助成事業 18K06268 研究成果報告
https://kaken.nii.ac.jp/report/KAKENHI-PROJECT-18K06268/18K06268seika/ - [7]Keen AN ほか「Journal of the Royal Society Interface」18巻(2021)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8596013/ - [8]Chow M ほか(ワシントン大学ほか)「Characterization of elastin protein and mRNA from salmonid fish」Comparative Biochemistry and Physiology 93B(1989)
https://labs.feinberg.northwestern.edu/arispe/docs/chow_comp.bioch_.phys_93b1989.pdf - [9]公益財団法人 日本健康・栄養食品協会「エラスチン食品」品質規格基準
https://www.jhnfa.org/topic202b.pdf - [10]Shigemura Y ほか(京都府立大学ほか)「Journal of Agricultural and Food Chemistry」60巻(2012)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22548376/ - [11]伊藤浩行ほか(近畿大学)科学研究費助成事業 23500533
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-23500533 - [12]中邨智之(関西医科大学)科学研究費助成事業 19H03439 研究成果報告
https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-19H03439/19H03439seika
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